経営承継はたやすい医療法人ですが、所有の承継対策は万全ですか

事業承継の基本形態

事業承継の基本形態は以下の4つに分類されます。

  1. 個人経営で親族に承継する場合
  2. 個人経営で他人に承継する場合
  3. 法人経営で親族に承継する場合
  4. 法人経営で他人に承継する場合


1. 医療法人を親族に承継する場合

平成19年4月1日以降に設立された医療法人は、「所有と経営が分離」していますので、理事長交代のみで引き継ぎが可能です。

しかし、それ以前に設立された医療法人については注意が必要です。「経営」は理事長の変更手続を行えば承継することができますが、「所有」については、出資持分の「あり・なし」によって譲渡所得税・贈与税・相続税が高額となる場合がありますので、早目の対策が必要となります。

医療法人の区分出資持分
旧法(平成19年3月31日までに)によって設立された社団医療法人
新法で(平成19年4月1日以降)設立された社団医療法人及び財団医療法人

【持分について】
「持分なし」の場合出資持分の引き継ぎがないため、理事長交代のみで引き継ぎが可能
「持分あり」の場合・「経営」は理事長の交代で引き継ぎ可能
・「所有」は出資持分の引継ぎが必要

【出資持分の引継ぎ方法について】

相続の場合「出資持分あり」で、持分の評価が高い場合、相続税額も多額となります。そこで、出資持分の評価が高くなる前からの計画的な事業承継プランが必要となります。
生前贈与する場合贈与の場合、業績によっては出資持分の評価が年々高くなることが多く、贈与税も多額となることが多いです。
そのため、業績と持分の評価のタイミングを図りながら、計画的な贈与が必要となります。
売却する場合売却時に譲渡益が発生する場合も譲渡所得税がかかります。売却価格によっては多額の資金が必要となりますので、買い取る側は計画的な資金準備が必要です。

【理事長職(経営権)の承継方法について】

  1. 社員の立場を承継(議決権)し、社員総会で理事に選任されます。
  2. 理事会で理事長に選任され、その後、法務局で登記を行います。

2. 医療法人を第3者へ承継する場合

親族で後継者が見つからなかった場合、第3者から後継者を探す必要があります。
ポピュラーな方法としては

  1. 新規開業希望の先生
  2. 分院展開をする医療法人
  3. 介護事業者や薬局といった民間事業者

が挙げられますので、既存の人脈や代理人等を通じてマッチング先を探します。

【売手側と買手側のマッチングの手順】

売手側買手側
  1. 譲渡相談
    • 譲渡依頼・秘密保持契約の締結
  2. 売り情報の資料作成
  3. 譲渡価格の算定
  4. 売り情報ノンネームによる公開
    • 場所クリニックの名前が分からない程度の情報公開
  5. 買手側との秘密保持契約締結
  6. 買手側の購入希望条件と経歴書情報の入手
  7. 買手側に対し売却物件の内見手配と面談手配
  8. 契約内容の協議
  9. 契約書の作成
  10. 契約の締結
  11. 物件の引き渡し
  1. 購入相談
    • 希望場所、診療科目、予算
  2. 購入依頼
  3. ノンネーム売り情報の提供と打診
  4. 売手側代理人との秘密保持契約締結
  5. 売手側の譲渡希望価格の打診と資料の入手
  6. 譲渡物件の内見と売り手側との面談手配
  7. デューデリジェンス
    • 過去3期分の決算書申告書の内容検討
    • 過去3年分のレセプト(診療請求書)の分析
    • 譲渡物件の資産負債の検証(簿外債務の確認)
    • 譲渡物件の収入費用利益の検証
    • 譲渡物件の問題点(リスク)の検証と対策の検討
    • 譲渡物件の診療圏調査
  8. 契約内容の協議
  9. 契約書の確認
  10. 契約の立ち会い
  11. 契約履行の確認

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